オーストリアの甘いちぎりパンは、イースト生地を小さく丸め、ミルクと油脂を入れた容器で焼き上げる、昔ながらの甘いパンです。元のレシピには「Dampfnudeln」とも書かれていて、ミルクの蒸気を含みながら、やわらかく仕上げる料理だったことが分かります。
焼き上がった小さな生地には、温かいバニラクリームをかけます。大きなパンやケーキのような華やかさではありませんが、やさしい甘さと温かさがあり、オーストリアの家庭で親しまれてきた甘い主食やデザートの雰囲気を感じられる一皿です。
このオーストリアの甘いちぎりパンについて
オーストリアの甘いちぎりパンは、イースト生地で作る甘いオーブン料理です。
小さく成形した生地を、ミルクと油脂を入れたフライパンや耐熱容器に並べ、発酵させてから焼きます。
仕上げにバニラ風味のクリームをかけるため、パンのようでありながら、デザートや甘い主食のようにも楽しめます。
オーストリアや中欧の家庭料理らしい、あたたかくて食べごたえのある一品です。
元の料理名について
元のレシピには、次のように書かれています。
Dukatenbuchteln (Dampfnudeln)
「Buchteln」は、イースト生地を丸めて焼いた甘いパンのような料理です。
「Dukaten」は小さな金貨を思わせる言葉で、小ぶりな形を表していると考えられます。
「Dampfnudeln」は、ミルクや蒸気でやわらかく仕上げるイースト生地の料理です。
日本語では、元の名前を残して、
オーストリアの甘いちぎりパン
として紹介します。
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古いレシピについて
このレシピは、古い印刷レシピに残された内容をもとにしています。読み取れる材料と手順を大切にしながら、現代の家庭でも作りやすいように、分量や材料名の意味を補っています。
Thea、Germ、dkg、Rohr など、今の日本では分かりにくい言葉も出てくるため、それぞれの意味を説明しながら再現しています。
材料
生地
- 小麦粉 240g
- Thea、マーガリン、またはバター 100g
- 砂糖 少量
- 生イースト 20g
- 牛乳 約125ml
- 塩 少々
焼くとき用
- Thea、マーガリン、またはバター 約50〜80g(お好みで調整してください)
- ※焼き型に入れる牛乳と一緒に使います。元のレシピでは「1/2キューブ分」とありますが、現代の感覚では多めなので、ここでは作りやすい量に調整しています。
- 牛乳 約125ml
バニラクリーム
- 牛乳 500ml
- 砂糖 80g
- バニラシュガー 適量
- 卵黄 3〜4個分
- コーンスターチまたは片栗粉 20g
- 溶かしたThea、マーガリン、またはバター 50g
分量について
元のレシピでは、dkgという単位が使われています。
dkgはデカグラムのことで、1dkgは10gです。
このレシピでは、次のようになります。
24dkg 小麦粉 = 240g
10dkg Thea = 100g
2dkg 生イースト = 20g
8dkg 砂糖 = 80g
2dkg でんぷん粉 = 20g
5dkg Thea = 50g
また、1/8 l は約125ml、1/2 l は約500mlです。
「Thea」は、昔のオーストリアやドイツ語圏のレシピによく出てくるマーガリンの商品名です。
日本で作る場合は、マーガリンまたはバターで代用できます。
材料の補足
Theaについて
Theaは、古い家庭料理のレシピによく見られるマーガリンです。
このレシピでは、生地にも、焼くときにも、さらにクリームにも使われています。
日本では同じものを手に入れるのは難しいため、マーガリンか無塩バターで代用します。
マーガリンを使うと元の家庭料理らしい軽さに近くなり、バターを使うと香りが豊かになります。
Germについて
元のレシピの「Germ」は、オーストリアで使われる言葉で、イーストのことです。
ここでは生イースト20gが使われています。
日本では生イーストが手に入りにくい場合があります。
その場合はドライイーストで代用できますが、分量はそのまま20gでは多すぎます。ドライイーストは6~7gを使用してください およそ1袋を使うと考えていただければ大丈夫です。
バニラシュガーについて
バニラシュガーは、バニラの香りをつけた砂糖です。
日本では手に入りにくいこともあるため、砂糖にバニラエッセンスを少し加える方法でも作れます。
でんぷん粉について
元のレシピの「Stärkemehl」は、でんぷん粉のことです。
日本ではコーンスターチが使いやすいです。片栗粉でも代用できますが、少しとろみの質感が変わります。
牛乳について
牛乳は、生地にも焼くときにも使われます。
特に、焼くときに容器の底へ入れる牛乳は、生地をしっとり仕上げるための大切な材料です。
日本で作る場合の代用について
このレシピは、日本でも比較的作りやすい材料で再現できます。
ただし、Thea、生イースト、バニラシュガーはそのままでは手に入りにくい場合があります。
マーガリン
Theaに近い雰囲気で作りたい場合に向いています。昔の家庭料理らしい、軽めの仕上がりになります。
無塩バター
香りをよくしたい場合に向いています。元の素朴さとは少し変わりますが、味はまとまりやすいです。
ドライイースト
生イーストの代わりに使えます。ただし、分量は少なくします。パッケージに書かれている小麦粉量に合わせるのが安心です。
一般的には、
生イースト:ドライイースト = 約3:1
で換算します。
つまり、
20g ÷ 3 = 約6.7g
なので、レシピではドライイースト6〜7gくらいにすると使いやすいです。
インスタントドライイーストなら、6gでも大丈夫です。しっかり膨らませたい甘めの生地なら7g寄りでよいと思います。
バニラエッセンス
バニラシュガーがない場合に使えます。入れすぎると香りが強くなるため、少量で十分です。
コーンスターチ
Stärkemehlの代わりに使いやすい材料です。クリームに自然なとろみをつけやすく、家庭でも扱いやすいです。
この料理では、無塩バターとドライイーストを使うと、日本の家庭でも作りやすく、香りのよい仕上がりになります。元の雰囲気に近づけたい場合は、バターではなくマーガリンを選んでもよいです。
作り方
1. イースト生地を作る
小麦粉、Theaまたはバター、砂糖、生イースト、牛乳、塩を合わせます。
なめらかでやわらかい生地になるまでこねます。
生地が乾きすぎる場合は、牛乳を少量ずつ足して調整します。
2. 生地を発酵させる
乾燥しないように覆い、暖かい場所で発酵させます。
生地がふっくらして、ひとまわり大きくなるまで待ちます。
室温によって発酵時間は変わります。
3. 焼く容器を準備する
フライパン、またはオーブンに入れられる耐熱容器に、牛乳とTheaまたはバターを入れて温めます。
沸騰させず、油脂が溶けて全体が温まる程度にします。
このミルクと油脂が、生地をしっとり焼き上げる土台になります。
4. 生地を小さく成形する
発酵した生地を、親指くらいの大きさに分けます。
軽く丸めて、準備した容器に並べます。
膨らむので、少し間隔をあけて置きます。
5. もう一度発酵させる
並べた生地をそのまま少し休ませます。
ふっくらしてきたら焼く準備ができています。
ここでしっかり休ませると、焼き上がりがやわらかくなります。
6. オーブンで焼く
中温のオーブンで焼きます。
生地がふくらみ、表面に軽く焼き色がつくまで焼きます。
目安は25〜35分ほどですが、容器や生地の大きさによって調整します。
7. バニラクリームを作る
牛乳、砂糖、バニラシュガー、卵黄、でんぷん粉を合わせます。
湯せん、またはごく弱火で混ぜながら温めます。
とろみがつくまで、焦らずに混ぜ続けます。
8. 溶かした油脂を加える
とろみがついたクリームに、溶かしたTheaまたはバターを加えます。
全体がなめらかになるまで混ぜます。
強く沸騰させないようにします。
9. 仕上げる
焼き上がったドゥカーテンブフテルンに、温かいバニラクリームをかけます。
できたての温かいうちに食べるのがおすすめです。
おいしく作るコツ
生地はしっかり発酵させる
イースト生地は、発酵が足りないと重い仕上がりになります。
生地がふっくらするまで、あわてずに待つことが大切です。
小さめに成形する
元のレシピには、親指くらいの大きさにするとあります。
小さめにすると火が通りやすく、クリームともよくなじみます。
焼く前の牛乳を熱くしすぎない
容器に入れる牛乳と油脂は、温かい程度で十分です。
熱すぎると、生地の状態に影響が出ることがあります。
クリームは強火にしない
卵黄が入っているため、強火で加熱すると固まりすぎることがあります。
弱火か湯せんでゆっくりとろみをつけると、なめらかに仕上がります。
温かいうちに食べる
この料理は、冷めると生地が少しかたくなります。
焼きたてに温かいクリームをかけると、昔ながらの甘い家庭料理らしさがよく出ます。
味と食感
ドゥカーテンブフテルンは、やわらかいイースト生地と甘いバニラクリームを楽しむ料理です。
生地には油脂が入るため、ただのパンよりもしっとりしていて、食べごたえがあります。
味はやさしい甘さで、バニラの香りがふんわり広がります。
華やかなケーキとは違い、温かい食事として楽しめる素朴な甘さです。
小さく作ることで、クリームが生地になじみやすくなり、ひと口ごとにしっとりした食感を楽しめます。
作り置きについて
この料理は、できれば作りたてがおすすめです。
時間が経つと生地が少し締まり、クリームも冷えると固くなりやすいためです。
残った場合は、生地とクリームを分けて保存すると扱いやすいです。
クリームは卵黄を使っているため、冷蔵庫で保存し、早めに食べます。
温め直すときは、生地を軽く温め、クリームは弱火でゆっくり温めます。
クリームを強く沸騰させないように注意します。
食べ方
オーストリアの甘いちぎりパン(ドゥカーテンブフテルン)は、バニラクリームをかけるだけで十分楽しめます。
好みに合わせて、次のようなものを添えても合います。
- 粉砂糖
- プラムのコンポート
- りんごのコンポート
- あんずのコンポート
- 紅茶
- コーヒー
甘いクリームがあるので、果物の酸味を少し添えると食べやすくなります。
よくある質問とこたえ
まとめ
オーストリアの甘いちぎりパン(ドゥカーテンブフテルン)は、小さく成形したイースト生地を、ミルクと油脂の入った容器で焼き、温かいバニラクリームをかけて仕上げる甘い料理です。元のレシピには「親指くらいの大きさ」と分かる表現があり、大きなパンではなく、小ぶりに作ることがこの料理らしさにつながっています。
この記事では、古いレシピに出てくるTheaやGerm、dkgの表記を、今の家庭でも分かりやすいように補足しました。日本で作る場合は、Theaの代わりにバターやマーガリン、生イーストの代わりにドライイーストを使うと再現しやすくなります。
焼きたてにクリームをかけると、生地がしっとりして、甘い主食のようにもデザートのようにも楽しめます。古いオーストリア家庭料理の雰囲気を残しながら、今の台所でも作りやすい一品です。

