グリースアウフラウフは、牛乳で炊いたグリースに卵や砂糖を加え、オーブンで焼き上げる、昔ながらの甘い家庭料理です。見た目は素朴ですが、バニラやレモンの香りが入り、焼くことで温かいデザートのような一皿になります。
このレシピで特に印象的なのは、グリースの分量が現代のようにグラムで書かれていないことです。元のレシピには「1/2 Schale Grieß」とあり、器やボウルを使った家庭的な分量表現が残っています。当時の台所では、正確な数字よりも、見た目や手触りで作っていたことが伝わってきます。
このセモリナの焼きプディングについて
セモリナの焼きプディングは、甘いオーブン料理です。
セモリナを牛乳で炊いて濃いおかゆ状にし、そこへ卵黄、砂糖、香りづけ、メレンゲを加えて焼きます。
焼き上がりは、ケーキほど軽くはありませんが、普通のグリース粥よりはふんわりしています。
温かい甘い主食としても、食後のデザートとしても楽しめます。
ナッツをまぶした型で焼くため、外側にほんのり香ばしさが出るのも特徴です。
オーストリアの家庭料理では、甘い粉もの料理がデザートだけでなく、軽い主食のように食べられることもあります。グリースアウフラウフも、その流れにある料理として楽しめます。
元の料理名について
元のレシピでは、料理名は次のように書かれています。
Grießauflauf
「Grieß」は、ドイツ語でセモリナや粗びき小麦を意味します。
「Auflauf」は、オーブンで焼く料理、いわゆる焼き込み料理のことです。
日本語では、元の名前を残して、
グリースアウフラウフ
として紹介します。
内容を分かりやすく言うなら、「セモリナの甘いオーブン焼き」に近い料理です。
オリジナル画像

Photo by the author, 2026
古いレシピについて
このレシピは、古い印刷レシピに残された内容をもとにしています。読み取れる材料と手順を大切にしながら、現代の家庭でも作りやすいように、分量や材料名の意味を補っています。
特に「1/2 Schale Grieß」は、現代のレシピのような正確なグラム表記ではありません。そのため、元の表記を残しつつ、今の家庭で作りやすい目安量もあわせて説明しています。
材料
- グリース およそ100g
- 牛乳 500ml
- Thea、マーガリン、またはバター 150g
- 卵 4個
- 砂糖 200g
- バニラシュガー 適量
- レモンの皮のすりおろし 適量
- すりおろしたナッツ 適量
- 塩 少々
型に塗る用
- Thea、マーガリン、またはバター 少量
- すりおろしたナッツ 適量
分量について
元のレシピでは、dkgという単位が使われています。
dkgはデカグラムのことで、1dkgは10gです。
このレシピでは、次のようになります。
15dkg Thea = 150g
20dkg 砂糖 = 200g
1/2 l 牛乳 = 約500ml
「1/2 Schale Grieß」は、現代の正確なグラム表記ではなく、「器半分」「ボウル半分」のような昔の家庭的な分量表現だと考えられます。器の大きさによって量が変わるため、今作る場合は、牛乳500mlに対してグリース80〜100gほどを目安にすると作りやすいです。
大切なのは、牛乳で炊いたときに、しっかりした濃いグリース粥になることです。硬すぎると卵やメレンゲと混ぜにくく、ゆるすぎると焼いたときにまとまりにくくなります。
Theaは、昔のオーストリアやドイツ語圏のレシピによく出てくるマーガリンの商品名です。日本では、マーガリンまたは無塩バターで代用できます。
材料の補足
グリースについて
グリースは、粗びきの小麦やセモリナのことです。
この料理では、牛乳で炊いて濃いおかゆ状にし、焼き上げる生地の土台になります。
日本では「セモリナ粉」や「小麦セモリナ」として販売されているものが使いやすいです。粒が細かいものを使うと、なめらかに仕上がりやすくなります。
Theaについて
Theaは、古い家庭料理のレシピによく出てくるマーガリンです。
このレシピでは、グリースを炊くときと、卵黄生地を作るときに使われています。
日本で作る場合は、無塩バターを使うと香りがよくなります。マーガリンを使うと、より昔の家庭料理らしい軽い風味に近づきます。
卵について
卵は、卵黄と卵白に分けて使います。
卵黄はコクを出し、卵白は泡立ててメレンゲにすることで、生地を少し軽くします。
このひと手間によって、ただのグリース粥ではなく、オーブン料理らしいふんわりした食感になります。
バニラシュガーについて
バニラシュガーは、バニラの香りをつけた砂糖です。
日本では手に入りにくい場合があるため、砂糖にバニラエッセンスを少し加えて代用できます。
すりおろしたナッツについて
元のレシピでは、型にすりおろしたナッツをまぶします。
ヘーゼルナッツやくるみ、アーモンドなどが使えます。
ナッツの香ばしさが、甘いグリース生地のアクセントになります。
日本で作る場合の代用について
日本では、グリースやThea、バニラシュガーが手に入りにくい場合があります。
完全に同じ味にはなりませんが、家庭で作りやすくするなら次のような代用品が使えます。
セモリナ粉
グリースの代用として使いやすい材料です。細かめのものを選ぶと、やわらかくなめらかな食感に近づきます。
無塩バター
Theaの代わりに使えます。元のマーガリンより香りがしっかり出るため、少しリッチな仕上がりになります。
マーガリン
昔の家庭料理らしい軽い風味に近づけたい場合に向いています。バターより香りは控えめです。
バニラエッセンス
バニラシュガーがない場合に使えます。入れすぎると香りが強くなるので、少量で十分です。
パン粉
ナッツを使わない場合、型に薄くまぶす代用品として使えます。香ばしさは変わりますが、型離れをよくする助けになります。
この料理では、セモリナ粉と無塩バターを使うと、日本の家庭でも作りやすく、香りのよい仕上がりになります。元のレシピに近い素朴さを大切にしたい場合は、マーガリンを選ぶのもよいです。
作り方
1. 牛乳と油脂を温める
鍋に牛乳とThea、マーガリン、またはバター50gを入れて温めます。
焦げつかないように、ときどき混ぜます。
沸騰直前から軽く沸くくらいまで温めます。
2. グリースを加える
グリースを少しずつ加えながら、絶えず混ぜます。
ダマにならないようにゆっくり入れます。
濃いグリース粥になったら火を止めます。
3. グリース粥を冷ます
炊いたグリース粥は、少し冷ましておきます。
熱いまま卵黄と合わせると、卵が固まってしまうことがあります。
触って熱すぎないくらいまで冷ますと扱いやすくなります。
4. 卵黄の生地を作る
残りのThea、マーガリン、またはバターをやわらかくします。
砂糖大さじ2を加えて、ふんわりするまで混ぜます。
卵を卵黄と卵白に分け、卵黄を少しずつ加えて混ぜます。
5. 香りを加える
卵黄の生地に、バニラシュガー、レモンの皮のすりおろし、塩を加えます。
全体がなめらかになるように混ぜます。
香りづけは強すぎない程度で十分です。
6. メレンゲを作る
卵白をしっかり泡立てます。
最後に残りの砂糖を加えながら、さらに泡立てます。
つやが出て、しっかりしたメレンゲになれば大丈夫です。
7. 生地を合わせる
冷ましたグリース粥と卵黄の生地を混ぜます。
そこへメレンゲを加え、泡をつぶさないようにやさしく混ぜます。
均一になれば混ぜすぎないようにします。
8. 型を準備する
耐熱皿にThea、マーガリン、またはバターを塗ります。
すりおろしたナッツを全体にまぶします。
生地を入れて、表面を軽くならします。
9. オーブンで焼く
中温のオーブンで約50分焼きます。
表面に軽く焼き色がつき、中心が落ち着いたら焼き上がりです。
焼きたてはやわらかいので、少し置いてから取り分けます。
おいしく作るコツ
グリースは少しずつ入れる
一度に入れるとダマになりやすくなります。
混ぜながら少しずつ加えることで、なめらかなグリース粥になります。
グリース粥は冷ましてから卵と合わせる
熱いまま卵黄と合わせると、卵が固まってしまうことがあります。
少し冷ましてから混ぜると、なめらかに仕上がります。
メレンゲは最後にやさしく混ぜる
メレンゲを入れることで、焼き上がりが少し軽くなります。
強く混ぜると空気が抜けて、重い仕上がりになります。
焼きすぎない
焼きすぎると水分が抜けて、硬くなりやすいです。
表面に軽く焼き色がつき、中心が固まれば十分です。
少し置いてから取り分ける
焼きたてはやわらかく、すぐ切ると崩れやすいです。
5〜10分ほど置くと、取り分けやすくなります。
味と食感
グリースアウフラウフは、牛乳と卵のやさしい甘さに、バニラとレモンの香りが加わる料理です。
すりおろしたナッツをまぶした型で焼くため、外側にほんのり香ばしさがあります。
食感は、しっとりとしていて、少しふんわりしています。
プリンほどなめらかではありませんが、普通のおかゆよりも形があり、焼き菓子よりもやわらかい仕上がりです。
温かいうちはやわらかく、冷めると少し締まった食感になります。
作り置きについて
グリースアウフラウフは、温かいうちに食べるのがおすすめです。
冷めると少し固くなり、焼きたてのやわらかさは弱くなります。
残った場合は、ふた付きの容器に入れて冷蔵庫で保存します。
温め直すときは、低めの温度でゆっくり温めます。
冷蔵後に少し固く感じる場合は、バニラソースや果物のコンポートを添えると食べやすくなります。
食べ方
グリースアウフラウフは、そのままでも楽しめます。
好みに合わせて、次のようなものを添えても合います。
- 粉砂糖
- りんごのコンポート
- プラムのコンポート
- あんずのコンポート
- ベリーソース
- バニラソース
甘い生地なので、少し酸味のある果物を合わせると全体のバランスがよくなります。
よくある質問とこたえ
まとめ
グリースアウフラウフは、牛乳で炊いたグリースを卵やメレンゲと合わせて焼く、オーストリアの家庭に根づいた甘い粉もの料理です。元のレシピには「1/2 Schale Grieß」という、現代のレシピ本ではあまり見かけない家庭的な分量表現が残っており、当時の台所で感覚を頼りに作られていた様子が伝わってきます。
この記事では、その古い表記をそのまま残しつつ、日本の家庭でも作りやすいように、グリースの目安量やThea、バニラシュガーの代用について補足しました。セモリナ粉、バターまたはマーガリン、バニラエッセンスを使えば、完全に同じではないものの、近い雰囲気で再現できます。
焼きたてはしっとりやわらかく、バニラとレモンの香りがふんわり広がります。派手なお菓子ではありませんが、古いレシピに残る日常の食卓を感じられる、あたたかい一皿です。

